ようこそ!
私たちは「便利なのは良いことだ」と考えがちです。次々と便利なモノやサービスが開発され,面倒は全てAIに任せて人間は寝たきり生活? それは私たちが本当に望む未来でしょうか?
そこでゼミ生たちが「不便だけど実はユーザにとって有益」という観点で,様々な不便なものをデザインしました。操作が複雑,素早くできない,手間が多い… でも,だからこそ楽しい,だからこそ実はユーザのためになることを目指しました(専門用語でこのようなことを「不便益(ふべんえき)」と言います)。
ぜひじっくり味わってください!
ゼミ担当:國分三輝(こくぶん みつてる)より
解説:不便益(ふべんえき)とは
世の中には「便利だと良くない」ことがたくさんあります。例えば富士山を登るのはとてもキツイことです。エスカレーターを作ったら誰でも楽に早く登れて便利です。技術的にも可能でしょう。でもそれでは,登山の醍醐味はゼロ,ご来光のありがたみも激減,富士山の神秘性も失われます。近ごろのゲームは複雑ですから,AIにクリアしてもらえば簡単です。でもそれではプレイする意味がありません。ネット書店は目的の本を一発で探せて便利です。でも,知らない本(世界)を発見する機会は失われました。
私たちは,不便そのものを楽しんだり,不便だから工夫したり,不便だから発見したりすることがあります。不便だから有益なこと,反対に便利が害になることがあるのです。「ユーザのためのデザイン」を指向する人間情報学部では,表面的な便利さを追求するのではなく,ユーザにとって本当に大切なことは何か?を常に考えます。あえて不便をデザインすることで「真の便利」を考えるのがこの企画のねらいです。